2016年より本格運用が開始した新機体。
2014年に当時の2年生が発起し新機体購入計画を立て、OBの方々からの多大な支援を受け2015年の夏に購入が実現した。
現在の世界選手権では15mクラスの殆どがLS8で占められるほどの人気機種で、学生の乗れる機体としては最高峰。
ASW24のような、Discusを凌ぐロールレートの良さを持つ素直な操縦性で、かつ空気の流れも感じやすいが、やはりDiscusなどよりは操縦に神経を使う。
翼端を付け替えることで18メートルのスパンにすることもでき、15mに比べ操縦性やサーマルでの上昇率も良くなり、そして50に近い滑空比を得て、大きな記録飛行も成しうる性能を持っている。
国籍記号及び登録記号 | JA22KZ |
製造 | Rolladen-Schneider |
全長 | 6.66m |
全幅 | 15m/18m |
全高 | 1.33m |
最良滑空比 | 43/48 |
LS8について語るためにはその前身たるLS6について語らねばなるまい。 LS6は15m/18mクラスグライダーとして1983年に初飛行した。新設計の短く細い(細いと言っても24に比べたら随分と太いが)胴体、カーボンクロスの採用等、前作のLS3/4から変化した要素は多いが、特に注目すべきは翼型がFX-67系からFX-81系になった事であろう。 FX-67系は70年代を席捲した翼型で、カタログスペックは良い物の、虫や水滴の付着に非常に弱いという弱点があった。 FX-81系はピーク時の性能を妥協した少々タフな翼型で、これを採用したLS6は10年近く最強の名を欲しい儘にした。因みに、翼端の翼型を工夫してあるので、ねじり下げは無い。その翼端と同じ系統の翼型が水平尾翼に使われている、らしい。 では触れられることの少ないラッキーセブン、LS7について話そう。皮肉なことに、LS7は薄幸だった。 というか、薄かった。物理的に。翼が。新開発の層流翼はカーボンファイバーの高剛性という強みを存分に生かしたもので、十分速く飛べば他のどんな翼より早く上がり、早く飛べる筈だった。 ガグルを組んでる以上、自分だけ速く飛ぶとかちょっと無理があったけどね。これは最近、サーマルでなんとか高速で回って翼面荷重をそこそこに抑えて飛べば勝つるということがわかっており、2019年のクラブクラスで優勝してたりする。が、当然そんなこと当時は知る由もない。LS7、ASW24、DG-600の3機は華々しく登場し、(なんと奇遇なことにどの機種も)5年生産されたのち、ひっそりとカタログから姿を消した。 LS7は失敗作だった。失敗作をそのままにしておくわけにはいかない。いかないが、そうそう新しいグライダーなんて作れるわけがない。翼型の開発なんて金も時間もそれなりにかかる。FRPのモールドだって作り直さなきゃいけないし、試験飛行もやり直す必要がある。 ところがここで良いのか悪いのかよく分からない情報が飛び込んでくる。「お宅のLS6、フラップ固定してスタンダードみたいに飛んでもめっちゃ強いんですけど」と。 フラップ付きの15/18mクラスとして設計した筈のLS6は、専用設計の筈のLS7はおろか、当時のスタンダード機を簡単に殴り飛ばすだけの性能があった。なんでやねん。 これを見たRolladen-Schneiderは考えた。もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな、と。 試験飛行はもう済んでるようなものである。型もLS6の奴を使えばいいし、設計変更もフラップを無くすだけ(実際はまぁ、いろいろしたけど)である。 実のところLS6の型はこののちLS8はおろかD41、LS9、LS11と骨の髄までしゃぶりつくされるのだが、それはまた別の話。 そんな訳で、妻沼では超最新鋭機に分類されるLS8だが、LS6まで遡ると原型機初飛行は1983年でASW24より早かったりする。オーパーツかな? 因みに今もDGでFES付けられたりしながら生産されている。40年……。 ウィングレットはLS8を作るときに設計されたもの。24のケツをぶつけたらへし折れそうなものとは違い、100人乗っても大丈夫なんじゃないかというくらい頑丈。あのバカでかい形状にはそれなりの理由があった筈だけど、最新のneo-Wingletでは普通の形にされた。 因みに、LS4、LS6、LS9の治具とか(但し、LS6の胴体の型は除く。まだDGがLS8を作るのに使ってるので)はチェコのAMS Flightというところが買ったが、何機かLS4作ったところで止めたらしく、HPでは「書類と治具、欲しい人が居たら売るんだけどなー♡」と宣伝している。どなたか御入用の方どうぞ。因みにELANが改編されて出来た会社である。 さりとていかんせんあにはからんや。前述のとおり、実は24よりも(ちょっと)古い設計なので、24に比べて翼面積が広い。勿論15mの時はスパンは同じなので、アスペクト比は低くなる。最良滑空比はカタログだと24の方が0.5良いことになっている。が、メーカーの言うLDなんて当てにならないので実際の所どうなのかは知らない。 整備をする人間からすると、シートパンの外しづらさだけはどうにかしてほしいが、他は特に不満は無い。あ、あと異常にねじが錆びやすいのは何? キャノピーの装着はコツが要る。静圧系統が二重になっていて、片方は何処にもつながってない。キャノピーを閉じるときは誰かが前を抑えてないとロックが掛からない。FESが出た時にウッキウキで対象調べたけど、JA22KZは古すぎて駄目だった。因みに弊部のLSはDG製ではなくRS製。 -18だからラダーがでかいのか、みたいな話をしたことが確かあったが、多分15mオンリーのLS8もラダー同じ。LS6の初期型だね、ラダーが小さいのは。